岡山東 №96
13/20

平成31年度税制改革に関する提言(要約)Ⅰ 税・財政改革のあり方 1 財政健全化に向けて プライマリーバランス黒字化目標の達成時期が2025年度に大幅に延期されたが、いわゆる2025年問題のことを考えると、それまでに黒字化を達成しておくことが極めて重要である。 2 社会保障制度に対する基本的な考え方 持続可能な社会保障制度を構築するためには、「自助」、「公助」、「共助」の役割と範囲を見直し、公平性からの視点も重要であることから、高齢者においても能力に応じた負担とすべきである。 また、企業への過度な負担は、経済成長の阻害要因となり、行うべきではない。 3 行政改革の徹底 消費税率10%への引上げは社会保障の安定財源の確保と、財政健全化のためで、これは国民に大きな痛みを求めることでもある。しかし、議員定数削減を求めていたにもかかわらず政府・議会は参議院の定数を6増加させる見直しを行った。改革に逆行するものであり容認できるものではない。 直ちに、地方も含めた議員および公務員の定数削減、特別会計・独立行政法人の無駄の削減、積極的な民間活力を導入した成長戦略の実行を求める。 4 消費税引き上げに伴う対応措置 軽減税率の導入は既に決まっているが、事業者の事務負担の増大など税制上の問題点も多く、税率が10%程度までは単一税率が望ましいことを改めて表明する。 また、軽減税率が実施された場合においても、中小企業が価格に適正に転嫁できるよう最適な対策をとること並びに納税者である国民と納税義務を課される事業者に制度の周知を行い、生活に混乱が起きることなどないよう務める必要がある。 5 マイナンバー制度について プライバシーの保護の観点から制度の適切な運用を担保する措置を取り、国民の利便性を高めるためには、申告手続きの簡素化、各種手当の申請手続きの簡略化を図るべきである。 6 今後の税制改革のあり方について 社会情勢・国際情勢を適格にとらえ、税制全体を抜本的に見直していくことが重要である。Ⅱ 経済活性化と中小企業対策 1 法人実行税率について OECD加盟国の法人税実効税率平均25%とアジア10か国の22%と比較しても依然として税率格差がある。当面は引き下げの効果を確認しながら、将来は更なる引下げも視野に入れる必要がある。 2 中小企業の活性化に資する税制措置①中小法人に適用される軽減税率の特例の本則化および適用所得金額を1600万円へ引上げる。②中小企業投資促進税制は、制度を拡充して本則化すべきである。直ちに本則化することが困難な場合は適用期限を延長する。③少額減価償却資産の取得価格の全額損金算入の特例措置は損金算入額300万円の上限を撤廃する。 3 事業承継税制の拡充 今年度の税制改正において大きな改正が行われたが、更に次の見直しを求める。①事業用資産を一般資産と切りはなした本格的な制度の創設。②相続税、贈与税の納税猶予制度ではなく免除制度に改める。③5年以内に提出しなければならない「特例承認計画」の提出期限について配慮すべきである。Ⅲ 地方のあり方○地方活性化には、国と地方の役割分担を見直し、財政や行政の効率化を図る地方分権化は地方の活性化にとって重要である。その際地方創生戦略を基本とすべきである。○「ふるさと納税制度」の過度な返戻品競争は問題で、本来の趣旨に沿った見直しが必要である。○地方は自らの責任で必要な安定財源の確保や行財政改革を企画・立案して実行する必要がある。Ⅳ 震災復興復興事業に当たっては、予算を適正かつ迅速に執行する。被災地における企業の定着、雇用の確保を図る観点から実効性のある措置を講じるよう求める。Ⅴ その他○地方法人税の申告納税事務は、地方消費税と同様に一層の合理化を求める。○税の意義や税の果たす役割については学校教育はもとより、社会全体で租税教育に取組み、納税意識の高揚を図っていくことが必要である。--13

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る