東法人会 №95
15/20

 今年7月6~7日の豪雨は、岡山県下に未曾有の甚大な被害をもたらしました。とりわけ吉備真備ゆかりの地の倉敷市真備町の惨状は目を覆いたくなるもので、心からお見舞い申し上げますとともに一日も早い復旧、復興を祈念しております。また、猛暑の中、県内外から多数のボランティアが県内の各地の支援に駆けつけてきており、善意の輪の広がりに深い感動を覚えております。 災害は忘れた頃にやってくるとは古くから言われていますが、「旭川流域今昔写真展」の記録集によれば、昭和9年(1934)の室戸台風は岡山県下でも猛威を振るい、9月20日から21日にかけて豪雨となって旭川の堤防も次々と切れ、後楽園も洪水に見舞われました。中国銀行本店南西角には洪水当時の水嵩を示すプレート(昭和9年9月21日洪水浸水線)があります。昭和9年の室戸台風被災状況(鶴見橋周辺)提供:(公社)岡山県文化連盟 岡山城下を水害から守るための百間川ですが、百間川への放流により犠牲となった地域があったことも忘れてはなりません。この百間川も豪雨の前には限界があり、今回は旭川の三野や玉柏地区、中島地区などが「河川氾濫危険水位」に到達したほか、用水のオーバーフローなどで各地に避難指示等が発令されました。 さて、鶴見橋を渡り、後楽園正門を入ると左手に土産ショップ「残夢軒」があります。ここで勤務されている難波由城雄さんは写真家として有名で後楽園をモチーフにした写真は数万枚を下りません。2004年にはオランダのチルブルグ市で写真展「後楽園の四季」を開催、そして2012年に同フェンロー市で国際園芸博覧会が3ヶ月間開催された際のイベントとしてファン・ボメル・ファン・ダム美術館のオファーを受け、「難波由城雄の目が見た岡山後楽園」が開催され、絶賛を博しました。岡山大学病院手術室5部屋の壁面には後楽園の大型写真が掲げられ、静謐な空間を構成しています。難波さんは、昆虫写真家として近年は動画撮影でも新境地を開き、2015年にはニュートン電子書籍版「ジョロウグモ動画」を発表しています。 後楽園正門から入口に至る空間一帯には欅の大木、樅、イチョウ、そして桜などが出迎えてくれます。イチョウは2億年以上前から生存している古代植物で、「生きた化石」です。実は銀杏として親しまれ、葉は健康食品の材料となっているようです。その黄葉は美しく岡山大学南北通りでもおなじみですが、法然上人ゆかりの美咲町の誕生寺のイチョウ、奈義町の菩提寺の巨木も有名です。後楽園バス停近くのイチョウは、落雷の影響にもめげず屹立し訪れる人を優しく出迎えてくれていましたが、残念ながら今はその姿を見ることができません。 桜といえば、後楽園の入口一帯、さらには後楽園東側の旭川岸の桜並木(愛称:旭川さくらみち)の下では、たくさんの人が花見を楽しんでいますが、植栽されているソメイヨシノだけではなく、西川緑道公園で見られるように、様々な樹種を植え、真の意味で桜の名所になればと願っています。提供:難波由城雄後楽園入口(右が欅の木、左が残夢軒)文化探訪   シリーズ⑫公益社団法人岡山県文化連盟前専務理事 曽田 章楷(その3)--15

元のページ  ../index.html#15

このブックを見る