東法人会 93号
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文化探訪   シリーズ⑩公益社団法人岡山県文化連盟アドバイザー 世界連邦都市宣言記念碑石関町界隈外国からの観光客木材筏の集積場所から月見橋を望む曽田 章楷 岡山の誇る後楽園。最近は岡山駅から後楽園へのバス直行便も出て、小生も利用してみましたが、実に便利で有難い。今まで運行されていなかったのが不思議なくらいです。しかし、時間を気にしない方は徒歩もいいものです。事実、岡山駅から外国人の歩く姿を見かけることも多く、また東山行き路面電車を利用して城下で下車して歩く人もよく見かけます。 城下から、旧内山下小学校北側の城壁に沿って続く緩やかな坂を上れば岡山市民会館があり、道を挟んで北に石山公園(北区石関町)があります。ときおりイベントが開催されるお馴染みの小公園ですが、まずユニークな石柱群が出迎えてくれます。当時、岡山県世界連邦都市宣言記念碑建設委員会の事務局で汗を流していた詩人の永瀬清子氏が新進気鋭の寺田武弘氏に依頼し昭和47年(1972)9月に制作されたもので、記念碑正面には湯川秀樹氏の手になる「地球に平和」の文字が刻されています。世界の国々の人々が手をつなぎ大空に向かって恒久平和の実現を願う気持ちが表現されたように思われます。公園は岡山後楽ライオンズクラブや岡山烏城ライオンズクラブ、岡山丸の内ライオンズクラブの皆様方による植樹などの奉仕がなされ、憩いの場となっています。外国人の皆さんにもぜひ見ていただきたいものです。 閑話休題。2010年開催の「おかやま国民文化祭」提案事業で「旭川流域今昔写真展」(事務局:岡山県文化連盟)が開催され大きな反響を呼びましたが、その記録写真集から3点紹介しましょう。かつては石山公園東側などには旭川上流から筏を組んで下ってきた材木が集められ、製材、販売されていました。近隣にはその名残が伺えますね。次に、石山公園の東前方には岡山城と後楽園を結ぶ『月見橋』があります。このあたりでは、昭和28年(1953)夏ごろから約10年あまり7月から9月まで毎夜「鵜飼い」が行われていました。夜の観光に一役かったのですね。そして、「ケーベン」こと、「西大寺鉄道」。大正14年(1915)には西大寺から後楽園までの約12㎞が結ばれ、地域の足として活躍しましたが、昭和37年(1962)、惜しまれつつ引退しています。 さて、先ほどの鵜飼いの「鵜」は、「海の鵜(ウミウ)」を捕まえ飼いならしているもので、今、どこの川にも出没して小魚を鵜呑みにする悪名高い「カワウ」ではありません。以前、岐阜でお聞きした鵜匠によりますと、コンディションの良くない鵜は喉元の綱を緩めて小さな鮎は飲み込みやすいようにしているとか。人馬一体ならぬ、人鵜一体でしょうか。因みに、「ガンカモ類」の仲間は、餌を求めて水中を潜る鳥と水には潜らない鳥があります。後楽園界隈はまた、バードウオッチングでも知られています。(公財)日本野鳥の会岡山県支部によりますと、後楽園は野鳥たちにとってのオアシス、周囲が旭川に囲まれているので水辺の鳥も山野の鳥も同時に楽しむことができ、年間約60種類の野鳥と出会えるバードウオッチングの天国のようです。今では、野鳥ではないのですが、後楽園で飼育されている『タンチョウ』。江戸時代は優雅に舞い、その肉は幕府に献上されたとか。(その1)--15

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