アユ資源回復の取り組み 岡山の街の中心を流れる旭川、そんな旭川にもアユが生息していることをご存じですか?アユは晩秋に旭川の下流で産卵し、生まれた赤ちゃんアユは海にくだります。冬から春先まで海で餌を食べて成長した幼魚は、5月頃に岡山城や後楽園の横の旭川をさかのぼり、さらに上流を目指します。その後、夏にかけて20㎝ほどに成長したアユは、夏の味覚として塩焼きや甘露煮などで食卓を賑わせてくれるほか、夏の風物詩である「友釣り」のターゲットとなっています。 そんなアユですが近年、資源が減少しています。原因として、病気や外敵からの食害、河川環境の変化などが考えられています。このような状況から、地元の旭川南部漁業協同組合ではアユの資源回復に向けた取り組みを行っており、本稿ではその一部を紹介します。 初夏、旭川の河口から30㎞程上流に位置する御津金川の大曽根堰では、簡易的な魚道の設置を行っています。これまでの調査から、稚アユがこの堰を越えるのは難しいと分かっていましたが、写真のようにハシゴのような形をした手作りの魚道を設置することで、堰を越えるアユの姿を確認することができました。ハシゴ型簡易魚道の設置堰を遡上したアユ また秋には、産卵場造成を行っています。実施場所は旭川下流の山陽本線が交差するあたり、まさに街のど真ん中です。アユの産卵に適した0.5~3㎝ほどの小石中心の河床となるように重機や人力により大きな石を取り除き、ならします。決して楽な作業ではありませんが、その甲斐もあって、ここでも産卵するアユの姿が確認されています。産卵場造成造成した産卵場に集まる親アユ 皆さんに身近な旭川ですが、そんな努力が続けられていることを知っていただければ幸いです。アユの友釣り岡山県農林水産総合センター水産研究所 竹本 浩之15
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